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Application UX/UI Design

メガスマッシュ

Organization IGNIS
Team 50 People
Role UX Director, Project Manager
『メガスマッシュ(通称 : メガスマ)』は、指先ひとつで迫り来るモンスターや巨大なボスをなぎはらう、爽快ぶっとばしアクションRPGです。 1プレイ1分の超カンタン操作で、スキマ時間にアクションRPGが苦手な人も極上の爽快感を体験できる。 さらに片手で気軽に遊べる一方で、深いやりこみ要素があり、敵をぶっとばす際の爽快感が特徴。 登って降りて、飛び跳ねて、高低差のあるクエストマップで繰り広げられる、大迫力のアクションバトルRPG。
世界の果てまでぶっ飛ばす
メガスマッシュとは

忙しい毎日。ちょっとした時間に最高の体験がしたい。
一方でゲーム開発費は市場拡大とともに年々高騰し、ゲームの仕様も複雑に...。
普段はカジュアルなゲームしかプレイしないから、ハードル高そう...。
とにかく何かに夢中になりたい。
そんなユーザーの課題に対するソリューションになるゲームを作るという命題を掲げて生まれたアクションRPGだ。

ゲームの特徴

とにかく吹っ飛ばす爽快感と手軽さに一番重きを置いている
そのため既存の3Dゲームを研究し、コンセプトが活きるようにマップに高低差を設けたり、片手間に操作してもそれらしくキャラが動いて爽快感を感じることができる操作性を担保している。

1st Approach

市場リサーチ

GOAL

市場の課題をリサーチし、ソリューションを導き出す

需要側の課題 : Lean Canvasによってコアメンバーでレビューを繰り返し、本作のターゲット像をある程度固めた。想定しているゲームの売り上げの大部分を占めるのは働き盛りの30-40代のビジネスマンである。これらのユーザーは、日々仕事に終われ忙しい中、束の間の息抜きといえば同僚との飲み会や家で観るテレビなど、限られている。

供給側の課題 : 一方でソーシャルゲーム市場は年々開発費が高騰し、比例してゲームの品質と"複雑性"が増している。この複雑性はやり込み要素と言われることも多いが、プレイに対するハードルとユーザーの学習コストも非常に高い。

この双方の抱える課題から、ソリューションとなるゲームを設計する。

2nd Approach

UXデザイン / ゲームデザイン

ペルソナの具体化 : そのユーザーはどんな行動特性を持っているか

Lean Canvasからペルソナを定義する。年齢や職業などのデモグラも大事だが、より行動特性に注目した。
  • 「俺はこの欲求だけでゲームを楽しんでだよ!」って人は少ないはず。
  • 「ゲームをプレイするときの目的意識が一つだけ!」って人も少ないはず。
  • IPS(イノベータ理論)やSPS(Social game Play-style Segment)と、ゲーマーの属性分類を用いてターゲット像を絞り込んでいく。

    SPS(Social game Play-style Segment)
    Team Member Image
    エヴァンジェリスト
    ソーシャルゲームに対して極めて能動的。 ゲーム専用機よりもソーシャルゲームを優先的に捉えており、 テレビCMやクチコミなどの情報にも敏感。直接の友人・知人はもちろん、 そうでない他者とも積極的にコミュニケーションを図っている。
    Team Member Image
    ソーシャルアダプタ
    エヴァンジェリストほど積極的ではないが、 ソーシャルゲームに対してかなり適性が高いクラスタ。 直接の友人・知人よりもネット上の他人とのコミュニケーションを好む点や 空き時間などのプレイの積極性ではむしろエヴァンジェリストを上回る。
    Team Member Image
    ポジティブゲーマー
    ソーシャルゲーム全般に対し、寛容的な態度を示しているクラスタ。 属性的には全クラスタ中最もゲーム専用機所有率が高く、また年齢的には若年傾向が強い。 ソーシャルゲームだけではなくゲーム全体に対してポジティブである。
    Team Member Image
    フリーライダー
    ソーシャルゲームが持つほとんどの要素に対し否定的な態度を見せる中、 唯一「基本無料」という部分にのみ価値を見出しているクラスタ。 ソーシャルゲームに対しそれほど多くのものを求めておらず単なる暇つぶしと捉えている。
    Team Member Image
    ネガティブゲーマー
    ソーシャルゲームに対し総じてネガティブな姿勢を見せるクラスタ。 男性比率が高い点はポジティブゲーマーと同じだが、年齢層がやや高い点が異なる。 これがソーシャルゲームに対する寛容度の違いとなって表れていると思われる。
    オンラインゲーム研究のユーザー分類
    conpetitor(競争者)

    他者と競争をし、勝ちたい人

    conqueror(征服者)

    力を見せつけて他者をひれ伏せたい人

    killer(殺人者)

    他者を倒す、殺すことが快感な人

    explore(探索者)

    他の人が知らない何かを先に見つけたい人

    achiever(達成者)

    高いランクを達成したり、障害を乗り越える快感を得たい人

    joker(社交者)

    他者の前でおどけた行動をとりたい人

    immersion(没入)

    その世界観の登場人物に自分を重ねたい人

    performer(パフォーマー)

    自分の行動を披露したい人

    society(社交者)

    他者とコミュニケーションをとりたい人

    mother(世話人)

    他の人を助けたい人、他者の役に立ちたい人

    boss(仕切り屋)

    集団やイベントを仕切りたい人

    leader(引率者)

    集団の前進を推進したい人

    storyteller(作家)

    スピンオフの状況を想像して楽しみたい人

    sponse(愛人)

    登場人物をひたすら愛でたい人

    craftman(職人)

    コツコツモノを作ったりしたい人

    collector(収集者)

    モノを集めたい人

    仕様策定 : 要件を言語化し、手段を検討していく

    要件の言語化 : 要件(満たしたいこと)を定義しておき、その要件を実現する手段は職能に任せる形にする。例えば満たしたいことを言語化しておき、手段についてはデザイナー / エンジニアに一任する形を取ることで、その道の手段のプロが自走できる仕組みを担保した。

    吹っ飛ばしの爽快感 : ゲームの肝となる吹っ飛ばしによる爽快感を、どう与えるか。遊びの要素として、①敵と相対した時 / ②敵を攻撃して吹っ飛ばした時 / ③吹っ飛ばされた後のゲームに与える影響の3要素に分解して考慮し、最終的に市場ニーズなどを鑑みて②敵を攻撃して吹っ飛ばした時(打撃のインパクトの瞬間)と定義した。

    以上のプロセスを経てまずはMVPを作成した。

    インゲーム
    アウトゲーム

    ユーザーテストを繰り返す

    あらかじめ定義しておいたユーザー属性を対象に、ユーザーテスト > 改善とイテレーションを回して、徐々にゲームを肉付けしていく。
    特に私自身が改善に寄与した点は下記。
  • インタラクションデザイン
  • ストレス設計
  • インターフェイスデザイン
  • カメラワーク
  • これらはどれもユーザーのゲーム体験、及びインターフェイスに関わる箇所にあたる。

    調整内容
    インタラクションデザイン

    バトルの要素を下記の3要素に分解できる。

  • 敵と相対した時の駆け引き
  • 敵を攻撃したインパクトの瞬間
  • 敵を吹っ飛ばした後の余韻
  • この中で敵を攻撃したインパクトの瞬間に本作は重点を置いているため、インパクトの瞬間にヒットストップやカメラシェイクなどは、0.01sec単位でとにかく拘って調整していく。

    ストレス設計

    ゲームのストレス設計はとにかく重要で、これによって、報酬としてのインタラクションデザインが活きる。 例えばエネミーデザインの場合、攻撃されることはユーザーのストレスになる。

  • 予備動作 : 攻撃の準備に要する動作
  • 攻撃動作 : 攻撃する動作
  • 後追い動作 : 攻撃終了後の隙となる動作で、ユーザーにとって好機となる
  • このように一連の動作も3つに分解でき、必ずユーザーがストレスを感じる部分と、その先に対価として、反撃のチャンスによってカタルシスを感じる部分を用意している。

    インターフェイスデザイン

    ユーザーが接触するものは全てUIだが、ここではアウトゲームのUIについて触れている。
    アウトゲームにも様々なアクションが存在する。

  • キャラ編成
  • クエスト選択
  • プレゼント受け取り
  • クエスト
  • これらのタスクを迷いなく実行できるように、ユーザーテストをして改善していく。

    また画面遷移時のトランジションの調整も行い、各コンポーネントをどの順番でどのようにアニメーションさせるかで、目線の誘導とユーザーがどこを押下すればよいかわかるように調整する。

    カメラワーク

    インゲームをプレイすると、ユーザーはクリアを目指すことになる。
    クリアの定義はゲームによって様々だが、本作の場合はクエストマップの目的地で、ボスを倒すことになる。
    つまり、ゲーム開始時にクエストの最終目的地をカメラに映してあげることで、ユーザーが迷いなく進行出来るようになる。
    またエネミーとのバトル時にドリーインなどのカメラワークの調整も行った。

    3rd Approach

    チーム組成 / プロジェクトマネジメント

    急速に増加するチーム人員のマネジメントと、スループット担保の両立

    最終的にチームの人員は50人前後まで増えていくわけだが、増員するほどマネジメントコストは高くなる。
    マネジメントにコストを割くと開発に遅れが生じ、開発期間が延びることで増えた人件費が予算を圧迫することになってしまう。
    そこで開発スループットを改善するために、ボトルネックの洗い出しと、タスク消化率の可視化をCCPM(Critical Chain Project Management)とスクラムに則って行った。

    一方でチームメンバーの目標設定や評価制度の整備、1on1によるコーチング等も行った。

    当初の実装ワークフロー

    実装にはあらゆる職能が関わるため、それらを考慮したフローを構築した。
    うまくワークしていたものの、人数が大幅に増えてから、なかなか開発効率が人数に比例して伸びず、改善する必要があった。

    改善の狙い

    CCPMはウォーターフォール系のシーケンシャルなPMメソッドであり、キャラなどの物量を伴うフローには全適応で良いが、インゲーム / アウトゲームには向かない。
    そこには作ってみないと or 触らないとわからない 最低限の機能・体験 という定義が存在する。
    これを事前に認識を合わせきるのは不可能。 従って、不確実性に対応できるアジャイル系手法を取り入れるのが妥当ではないか。

    どうやるか
    スクラム を原則にする。
    スクラムのチーム単位は セクションミッション 単位
    例: クエスト選択画面 デッキ編成/育成
    同時期に走る スクラム チーム間で 開発者の重複は徹底排除 (CCPM)
    スプリントのタイムボックスは 2week
    スプリント内の見積もりは、CCPMのバッファ管理思想をとり入れる
    CCPMでいうプロジェクト全体のバッファ = スクラム全体のバッファ 個々のタスクを半分にした後の25%
    CCPMでいう1タスクのバッファ = スプリント内のバッファ 個々のタスクを半分にした後25%
    バッファ内では、遅れを解消するだけでなく、 お知らせや機種移行など重要でない機能を細切れで実装できる 期間としても活用する